
記事の概要
このガイドでは、macOS Sequoia環境でNode.jsを始めるための手順やベストプラクティスを徹底的に解説します。初心者でも分かりやすいように、導入手順から実践的な使用例まで網羅しています。
今回の記事の対象者
- macOS Sequoia を利用している開発者
- Node.js のインストール方法を知りたい初心者
- Homebrew や nvm を使った Node.js のバージョン管理に興味がある方
もくじ
- 1. Node.js とは?
- 2. Node.jsインストールの必要条件
- 3. 事前準備
- 4. Node.jsのインストール(Homebrew版)
- 5. nvm(Node Version Manager)のインストール
- 6. nvm を使った Node.js のインストール
- 7. プロジェクト別 Node バージョンの固定
- 8. Node.jsグローバルパッケージのインストール
- 9. Node.js関連ツールの比較
- 10. macOS Sequoia でよく起きる問題と対策
- 11. サンプルプロジェクト構成
- 12. nvmのアップグレード&アンインストール
- 13. 参考資料
- 14. まとめ
1. Node.js とは?
Node.jsは、ブラウザ外のサーバーサイドでJavaScriptを実行するためのクロスプラットフォームのランタイム環境です。
GoogleのV8 JavaScriptエンジン(Chromeブラウザで使用されているもの)をベースに開発されており、以下の特徴があります:
- 非同期I/O処理:ディスクやネットワークアクセスをブロックせずに並行処理が可能
- イベント駆動アーキテクチャ:単一スレッドで効率的に多数のリクエストを処理
- 豊富な標準ライブラリ:HTTPサーバー、ファイル処理、暗号化などが組み込まれている
- npm ecosystem:世界最大のパッケージ管理リポジトリ(約200万件以上のパッケージ)
Node.jsは、主に以下のような用途に使われます。
カテゴリ | 典型的なユースケース |
---|---|
Web サーバ | Express, Koa, NestJS など |
CLI ツール | Yarn, Prettier, ESLint など |
デスクトップアプリ | Electron, Tauri など |
IoT / エッジ | ホームオートメーションスクリプト、マイクロコントローラ |
macOS Sequoia で Node を使う理由
- セキュリティ:Apple Silicon搭載のMacではネイティブなパフォーマンスとセキュリティ機能が提供されます。
- シームレスな統合:macOSのターミナルとHomebrewなどのツールとの相性が良い
- Homebrew + nvm で プロジェクトごとに Node バージョンを切り替え 可能で、Nodeで動作する豊富なツールが利用できます。
2. Node.jsインストールの必要条件
項目 | 理由 |
---|---|
Xcode コマンドラインツール | clang 、make 、SDK ヘッダーが必要。 |
Homebrew | macOS で最も簡単に Node とその依存パッケージをインストール。 |
インターネット接続 | GitHub・npm からパッケージを取得。 |
⚠️ 注意 – 社内ネットワークの場合、
curl
・git
・HTTPS(ポート 443)が許可されているか確認してください。
3. 事前準備
Xcode Command Line Toolsのインストール(未導入時)
Node.jsをインストールする前に、開発環境として必要なツールをインストールします。
xcode-select --install
ダイアログが表示されるので「Install」をクリックし、完了まで待ちます。
Homebrew のインストール(未導入時)
HomebrewはmacOS用のパッケージ管理システムです。
/bin/bash -c "$(curl -fsSL https://raw.githubusercontent.com/Homebrew/install/HEAD/install.sh)"
Homebrew が行うこと
/opt/homebrew
(Apple‑Silicon)または/usr/local/Cellar
(Intel)にパッケージをインストールできるようにします。
Homwbrewインストールの詳細は、以下の記事をご覧ください。
Homebrew vs nvm:どちらを使うべきか?
Node.jsのインストール方法は、大きく以下の2つがあります。
複数のNode.jsバージョンを扱う場合はnvm、単一のバージョン環境で十分な場合はHomebrewを使うのがお薦めです。
インストール方法の比較表を記載しますので、参考にしてください。
基準 | Homebrew | nvm |
---|---|---|
複数バージョン管理 | 難しい(アンインストールすると全て消える) | 簡単(任意のバージョンを切り替え) |
インストール手順 | シンプル(brew install node ) | 少し複雑だが一度設定すれば便利 |
開発環境 | 単一バージョンで十分な場合 | 複数プロジェクトを扱う場合 |
更新方法 | brew upgrade node | nvm install --lts && nvm alias default lts/* |
導入に当たっての注意点
セキュリティに関する注意事項
- 常にLTS版を使用:最新版は新機能を利用できますが、安定性やセキュリティ対応が遅れる場合があります。
- 権限の問題を避ける:
sudo npm install -g
は絶対にしないでください。グローバルインストールはnvm
かHOME
ディレクトリ下に安全に行われます。 - 定期的な更新:
brew upgrade node
またはnvm install --lts
でセキュリティフィックスを適用してください。
環境設定のトラブルシューティング
- nvmが認識されない場合:
~/.zshrc
または~/.bashrc
に以下の行が追加されているか確認してください
export NVM_DIR="$HOME/.nvm" [ -s "$NVM_DIR/nvm.sh" ] && \. "$NVM_DIR/nvm.sh"
- PATHの問題:ターミナルで
echo $PATH
を実行し、Node.jsのインストールパスが含まれているか確認してください - macOS Sequoiaのセキュリティ設定:App Store外のアプリを実行する場合は、「システム設定」>「セキュリティとプライバシー」で許可を与えてください
4. Node.jsのインストール(Homebrew版)
単独のNode.jsバージョンを利用する場合は、Homebrewから直接インストールするのが便利です。
# LTS(Long-Term Support)版をインストール(安定性重視)
brew install node@24
# インストール確認(バージョン情報が表示される)
node -v # v24.x.xが表示されるはず
npm -v # 付属のパッケージ管理ツールnpmのバージョン
実際の実行結果を以下に示します。(2025/08/31時点)
xxx ~ % node -v
v24.7.0
xxx ~ % npm -v
11.5.1
Node.jsをHomebrewで最新版にアップデートする方法は、以下の通りです。
# Node.jsを最新LTS版に更新
brew upgrade node
# 全てのHomebrew管理パッケージを更新
brew update && brew upgrade
Homebrew管理パッケージの更新と、Node.jsアップデートの実行結果を以下に示します。既に、最新版の場合は、以下のメッセージが表示されます。(2025/08/31時点)
xxx ~ % brew update
==> **Updating Homebrew...**
Already up-to-date.
xxx ~ % brew upgrade node
Warning: node 24.7.0 already installed
5. nvm(Node Version Manager)のインストール
複数のNode.jsバージョンを切り替える必要がある場合は、nvmを使用するのが便利です。
# cURLを使ってnvmをインストール
curl -o- https://raw.githubusercontent.com/nvm-sh/nvm/v0.40.3/install.sh | bash
シェルの環境変数を再読み込みします。
# インストール後、ターミナルを再起動または設定を読み込む
source ~/.zshrc # zshユーザーの場合
# source ~/.bashrc # bashユーザーの場合
6. nvm を使った Node.js のインストール
# 利用可能なNode.jsバージョンを表示
nvm ls-remote
# LTS版(v22)をインストール
nvm install 22
# 最新版(v24)をインストール
nvm install 24
# 使用するNode.jsバージョンを切り替え
nvm use 22 # LTS版に切り替え
# デフォルトのNode.jsバージョンを設定(ターミナル起動時に自動的に使用)
nvm alias default 22
確認コマンド:
node -v # 例: v22.7.0
npm -v # 例: 10.2.3
nvmの便利機能
.nvmrc
ファイルをプロジェクトディレクトリに配置すると、cd
した時点で自動的に対応バージョンが選択されます。nvm ls
でインストール済みのバージョン一覧を表示できます。nvm uninstall 18
で不要なバージョンを削除できます。
よく使うコマンド
これらのコマンドは、nvmを使ったNode.jsのパッケージ管理で利用します。それぞれのコマンドの役割を把握しておきましょう。
コマンド | 役割 |
---|---|
nvm install <バージョン> | 指定した Node バージョンをインストール |
nvm use <バージョン> | 現在のシェルでそのバージョンを使用 |
nvm ls | インストール済みの Node バージョン一覧 |
nvm alias default <バージョン> | 新しいシェルでデフォルトに設定 |
7. プロジェクト別 Node バージョンの固定
プロジェクトルートに 以下の内容で.nvmrc
ファイルを作成します。
最新のLTSを使う場合:
lts/*
または具体的なバージョンを指定する場合:
22.7.0
次に実行します。
nvm use # .nvmrc を自動で読み込む
ポイント
各プロジェクトがビルド・テストに使用した Node バージョンを固定でき、works‑on‑my‑machine
` (自分の環境でしか動かない!)の問題が防げます。
8. Node.jsグローバルパッケージのインストール
Node が準備できたら npm でグローバルパッケージをインストールします。
npm i -g yarn # 例:Yarn パッケージマネージャ
npm i -g eslint # Lint ツール
ベストプラクティス – グローバルインストールは最小限に。代わりに
npx
やプロジェクト内のnode_modules/.bin
を使うと良いです。
9. Node.js関連ツールの比較
Homebrew
や nvm
はとても便利で人気がありますが、他にも同じような役割を持つツールがいくつかあります。
以下の表に「代替ツール」を示します。
ツール | 用途 | 選ぶべきケース |
---|---|---|
n(Node binary manager) | Node.jsのバージョンを切り替えるためのシンプルなツール。 | nvmよりもさらにシンプルにNode.jsのバージョンを管理したいとき。 |
asdf(マルチランゲージバージョン管理) | Node.jsだけでなく、PythonやRubyなど複数のプログラミング言語のバージョンを一元的に管理するツール。 | 複数のプログラミング言語を使用するプロジェクトを扱うチームや、複数の言語のバージョン管理を一元化したい場合。 |
Volta(JavaScript ツールチェーン管理) | Node.js、npm、Yarn、pnpmといったJavaScript関連ツールチェーンをプロジェクトごとに管理し、自動的に適切なバージョンを適用するツール。 | プロジェクト間でツールチェーンのバージョンを統一し、開発環境のセットアップを簡素化したい場合。 |
Yarn | Facebookが開発した高速なパッケージ管理ツール。依存関係の解決が高速で、ロックファイル(yarn.lock )による再現性が高い。 | 依存関係の管理を高速化し、プロジェクトの再現性を高めたい場合。特に大規模プロジェクトで有効。 |
pnpm | パフォーマンスとディスク効率に重点を置いたパッケージ管理ツール。依存関係を共有することでディスク使用量を減らす。 | ディスク容量を節約し、インストール時間を短縮したい場合。モノレポ環境での利用にも適している。 |
10. macOS Sequoia でよく起きる問題と対策
エラーメッセージ | 原因 | 解決方法 |
---|---|---|
command not found: node | Node.jsがインストールされていないかPATHが設定されていない | Homebrewまたはnvmを使ってインストールし直す |
npm ERR! code EACCES | 権限エラー(sudoを使っていないにもかかわらず) | グローバルインストールは避け、プロジェクト内でnpm install を使用 |
nvm: command not found | nvmの設定ファイルが読み込まれていない | source ~/.zshrc を実行し、~/.zshrcにnvmの設定があるか確認 |
gyp ERR! stack Error: Can't find Python executable "python" | Node.jsのネイティブアドオンをインストールするためにPythonが必要 | brew install python でPythonをインストール |
11. サンプルプロジェクト構成
# 新規プロジェクト作成
mkdir my-node-app && cd my-node-app
# git 初期化(任意)
git init
# .nvmrc に LTS バージョンを設定
echo "lts/*" > .nvmrc
# 依存パッケージをインストール
npm init -y # または pnpm init
npm install express # 例: Express
# サーバ起動
node index.js
Tip –
package.json
にstart
スクリプトを追加すると便利です。"scripts": { "start": "node index.js" }
その後npm start
で起動。
12. nvmのアップグレード&アンインストール
nvmのアップグレード
git` を使って手動でアップグレードする場合(git v1.7.10+が必要):
$NVM_DIR
に移動します。- 最新の変更をプルします。
- 最新バージョンをチェックアウトします。
- 新しいバージョンをアクティブ化します。
(
cd "$NVM_DIR"
git fetch --tags origin
git checkout `git describe --abbrev=0 --tags --match "v[0-9]*" $(git rev-list --tags --max-count=1)`
) && \. "$NVM_DIR/nvm.sh"
nvmのアンインストール
nvm` を手動で削除するには、以下を実行します。
まず、nvm unload
を使ってターミナルセッションからnvmコマンドを削除し、インストールディレクトリを削除します。
$ nvm_dir="${NVM_DIR:-~/.nvm}"
$ nvm unload
$ rm -rf "$nvm_dir"
~/.zprofile`(または他のシェルリソース設定ファイル)を編集し、以下の行を削除します。
export NVM_DIR="$HOME/.nvm"
[ -s "$NVM_DIR/nvm.sh" ] && \. "$NVM_DIR/nvm.sh" # This loads nvm
[ -s "$NVM_DIR/bash_completion" ] && \. "$NVM_DIR/bash_completion" # This loads nvm bash_completion
13. 参考資料
リソース | 内容 |
---|---|
Node.js Docs | Node.js 公式 API リファレンス |
Homebrew Docs | Homebrewの高度なインストール・トラブルシューティング |
nvm GitHub Repo | nvmのソース・Issue・PR |
npm Docs | npmパッケージ公開・スクリプト |
Node.js Release Schedule | Node.jaのLTS と Current の違い、廃止予定 |
Sequoia Release Notes | macOS 固有の変更点 |
14. まとめ
このガイドでは、macOS Sequoia環境でNode.jsをセットアップするための詳細な手順を解説しました。
Node.jsは現代のWeb開発において不可欠なツールで、Homebrewやnvmといったツールを利用することで、効率的に開発環境を構築できます。
特に、プロジェクトに応じてNode.jsのバージョンを管理したり、セキュリティの注意点、そしてよくありがちなトラブルシューティング方法を理解しておくことが、スムーズな開発に繋がります。
本ガイドが、あなたのNode.js開発の一助となれば幸いです。素敵なエンジニアライフを満喫してください!