【初心者向け】macOS Sequoia へ Xcode Command Line Tools(CLT)をインストールする方法を紹介!


本記事の目的

この記事では、macOS Sequoiaで、Web開発や各種プログラミングを始めるにあたり、多くのソフトウェアの基礎となる「Xcode Command Line Tools」(Xcode CLT)の導入、更新、削除の手順を、初心者にも分かりやすく解説します!

Xcode CLTを使う際に直面する疑問やトラブルをスムーズに解決できるよう、実務で使われているベストプラクティスも提供します。


本記事の対象読者

  • Macでプログラミングを始めたいと考えている初心者
  • Homebrewなどのパッケージマネージャーをインストールしたい方
  • Web開発やサーバーサイド開発の環境を構築したい方
  • フルバージョンのXcodeは必要ないが、開発用のコマンドラインツールを使いたい方


目次


1. Xcode Command Line Toolsの概要紹介

Xcode Command Line Toolsは、Appleが提供する開発者向けのツールパッケージです。

GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を持つXcode本体とは異なり、ターミナル(コマンドライン)上で動作するツール群が含まれています。

これには、CやC++などの言語をコンピューターが理解できる形式に変換する「コンパイラ」や、バージョン管理システムの「Git」など、ソフトウェア開発に不可欠な基本的なツールが含まれています。

項目内容
正式名称Xcode Command Line Tools(Xcode CLT)
含まれるツールgcc, clang, make, git, svn, ruby, swiftc など
インストール場所/Library/Developer/CommandLineTools(システム全体)
または <Xcode.app>/Contents/Developer(Xcode からのインストール)
バージョン管理xcode-select -p で現在のパス確認
xcodebuild -version で Xcode/CLT バージョン確認
公式入手方法xcode-select --install(自動ダウンロード)
Apple Developer の .dmg から手動インストール
推奨利用Homebrew、CMake、Autotools などのビルドツール
macOS のシェルスクリプトやパッケージ化作業


2. Xcode Command Line Toolsを使う理由

macOSで多くのオープンソースソフトウェアや開発ツールを利用しようとすると、その多くがソースコードからビルド(コンピュータが実行できる形式に変換)される必要があります。
このビルドプロセスに、Xcode Command Line Toolsに含まれるコンパイラなどのツールが必要です。

  1. ビルドツールチェーンが揃う
    gcc, clang, make などのコンパイラ・ビルドツールが標準でインストールされるため、C/C++/Swift のコンパイルがすぐに可能です。 Homebrew などのインストールにも必要です。
  2. Git や コンパイラ が標準搭載
    バージョン管理がコマンドラインから直接行えるようになります。
  3. macOS の開発者向け環境を統一
    Xcode IDE と同じツールチェーンを使うことで、IDE でビルドしたバイナリと同一環境でテスト・デバッグが行えます。


3. Xcode Command Line Toolsの主なユースケース

ユースケース具体例
C/C++ プログラムのコンパイルgcc hello.c -o hello
Swift スクリプト実行swift script.swift
カスタムビルドスクリプト./configure && make でオープンソースプロジェクトをビルド
開発者向けユーティリティgit,clang-format, swiftlint などのツールチェーン

プログラム言語のコンパイル

C言語やC++言語で書かれたソースコードをコンパイルし、実行可能なプログラムを作成できます。

// hello.c というファイルを作成
#include <stdio.h>
int main() {
    printf("Hello, World!\n");
    return 0;
}
# ターミナルでコンパイルして実行
gcc hello.c -o hello
./hello

バージョン管理システム git の利用

プログラムのソースコードなどの変更履歴を記録・追跡するためのgitコマンドが使えるようになります。これにより、複数人での共同開発や、過去のバージョンへの復元が容易になります。

# Gitのバージョンを確認する
git --version


4. インストール手順

手順 1:Terminalからxcode-select コマンドを使う(おすすめ)

  1. Terminal を起動し、以下のコマンドを実行します。
   xcode-select --install
  1. ポップアップが表示されたら 、以下の操作を実施します。
  • 「インストール」ボタンをクリック
  • 同意画面で「同意」にチェックして「続行」を押す
  1. インストール完了後に、インストールされている場所を確認します。
       xcode-select -p
    • /Library/Developer/CommandLineToolsが出力されたら、インストール成功です。
    1. ライセンス同意を行います。(初回のみ)
       sudo xcodebuild -license
    • 画面の指示に従ってスクロールし、agree を入力します。

    注意

    • macOS Sequoia 15 では、Xcode 15.x が既にインストールされている場合でも、上記手順で CLT を別途取得できます。
    • 既に Xcode がインストールされていると、xcode-select -p/Applications/Xcode.app/Contents/Developer が返ることがあります。CLI を優先して利用したい場合は、sudo xcode-select --switch /Library/Developer/CommandLineTools を実行してください。


    手順 2:Apple Developerサイトから手動ダウンロード

    特定のバージョンが必要な場合や、オフライン環境でインストールしたい場合は、Apple Developerサイトから直接インストーラーをダウンロードできます。

    1. Apple Developer の「Downloads」ページへ
    2. 検索欄に「Command Line Tools」と入力
      • 検索結果の例: Command Line Tools for Xcode 16
    3. 該当 .dmg ファイルをダウンロード
      • Command Line Tools for Xcode 16.4.dmg 841.89 MB
    4. DMG をマウントし、.pkgインストーラー をダブルクリック
      • インストーラが起動します。手順に従ってインストールしてください。
    5. 完了後、インストールされた場所確認します。
    xcode-select -p
    • /Library/Developer/CommandLineToolsが出力されたら、インストール成功です。

    備考

    • 手動ダウンロードは、ネットワークが不安定な環境やオフラインで作業する場合に有効です。
    • Xcode CLT のバージョンは macOS Sequoia 15 に合わせて最新版を選びましょう。


    5. ローカル動作確認

    インストールが正常に完了したかを確認しましょう。
    xcode-select -pで、/Library/Developer/CommandLineTools と表示されれば、正しくインストールされています。
    gitやgccなどのコマンドが使えるか、バージョン情報を表示して確認します。
    gcc --versionで、バージョン情報が表示されれば成功です。

    コマンド期待される出力(例)
    xcode-select -p/Library/Developer/CommandLineTools
    gcc --versionApple clang version 17.0.0 (clang-1700.0.13.5)
    clang --versionApple clang version 17.0.0 (clang-1700.0.13.5)
    make --versionGNU Make 3.81
    git --versiongit version 2.39.5 (Apple Git-154)
    swiftc -vApple Swift version 6.1.2 (swiftlang-6.1.2.1.2 clang-1700.0.13.5)

    確認ポイント

    • xcode-select -p/Library/Developer/CommandLineTools を返すこと。
    • xcode-select --print-path でも同様に確認できます。


    6. アップグレード手順

    macOSをメジャーアップデートした後などに、Command Line Toolsの更新が必要になることがあります。

    方法 1: Software Update

    1. Software Update で確認
       softwareupdate --list
    • CLT のアップデートがリストにあれば、softwareupdate --install <id> でインストール。
    • 例: softwareupdate --install "Command Line Tools for Xcode"
    1. ソフトウェア・アップデートを利用する
    • 「システム設定」>「一般」>「ソフトウェア・アップデート」にCommand Line Toolsのアップデートが表示されます。


    方法 2: 手動アンインストール&インストール

    1. 手動でアンインストール&再インストールします。
    • 問題が発生した場合は、一度アンインストールしてから最新版を再インストールする方法が確実です。
    • 古いツールを削除:
    sudo rm -rf /Library/Developer/CommandLineTools
    • 再度インストール:
    xcode-select --install
    1. Xcode CLTのバージョン確認
       xcode-select -version
    • 例: xcode-select version 2410.


    7. アンインストール手順

    Xcode CLTが不要になった場合や、クリーンな再インストールを行いたい場合は、以下のコマンドで削除できます。

    1. Xcode CLT ディレクトリを削除
        sudo rm -rf /Library/Developer/CommandLineTools
    1. 確認
        xcode-select -p 
        # エラーが出る(CLT がない)

    ポイント

    • 注意: rm -rf は強力なコマンドです。パスの入力間違いがないよう、十分に注意してください。


    8. 導入に当たっての注意点

    macOSアップデート後の再インストール: 
    macOSをメジャーアップデート(例:Sonoma → Sequoia)すると、Command Line Toolsの互換性がなくなり、再インストールやアップデートが必要になる場合があります。

    Xcode本体との共存: 
    完全版のXcodeもインストールしている場合、システムはどちらのコマンドラインツールを使用するか選択する必要があります。以下のコマンドで、使用するツールを切り替えることができます。

    # Command Line Tools を指定
    sudo xcode-select -s /Library/Developer/CommandLineTools
    
    # Xcode 内のツールを指定
    sudo xcode-select -s /Applications/Xcode.app/Contents/Developer


    その他の注意事項:

    注意項目詳細
    ディスク容量Xcode 本体は 15 GB 超。CLI のみ必要なら別途インストールで節約。
    Homebrew との連携Homebrew は CLT が必須。brew doctor で未インストールを検出。
    Apple ID 必要手動ダウンロード時は Apple Developer のサインインが必要。
    macOS バージョン互換macOS Sequoia 15 用の CLT を必ず選択。古いバージョンは動作しない場合があります。
    License 同意sudo xcodebuild -license を実行し、同意済みでないとビルドが失敗。
    システムのレジストリ/System/Library/Receipts/com.apple.pkg.CLTools.bom が残っているとアップデート時に警告。必要なら削除。


    9. Xcode本体との比較

    Xcode本体 と Xcode CLTの比較表を以下に示します。

    項目Xcode Command Line ToolsXcode
    主な目的ターミナルでの開発、ライブラリのビルドiOS, macOS等のApple製品向けアプリ開発
    含まれるものコンパイラ、Git等のコマンドラインツールIDE、シミュレータ、Command Line Tools等全て
    サイズ比較的小さい(数GB)非常に大きい(数十GB)
    GUIなしあり(統合開発環境)
    推奨ユーザーWeb開発者、サーバーサイド開発者、Homebrew利用者Appleプラットフォームのアプリ開発者

    Tips
    iOSやmacOSアプリ開発が目的でない場合、数十GBもの容量を占めるXcode本体をインストールする必要はなく、より軽量なCommand Line Tools(約1.2GB〜数GB)だけで開発環境を整えられるという大きなメリットがあります。


    10. 参考情報


    11. まとめ

    Xcode Command Line Toolsは、macOSでプログラミングや開発を行うための基盤となる重要なツール群です。特にHomebrewを利用する際には必須となります。

    フルバージョンのXcodeは必要ないけれど、ターミナルで開発ツールを使いたいというほとんどのユーザーにとって、Xcode Command Line Toolsが最も手軽で最適な方法となります。

    本ガイドが、あなたのアプリ開発の一助となれば幸いです。素敵なエンジニアライフを満喫してください!あなたのMacを快適な開発環境にしましょう!

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