
Windows開発者の皆さん、WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)の導入は進んでいますか?
「Windowsで開発しているけど、やっぱりLinux環境のツールを使いたい」「Dockerを快適に動かしたいけど、Windowsネイティブだと重い…」そんな悩みを抱えていませんか?
もしそうなら、VS CodeやZedといったモダンなエディタとWSL2の組み合わせが、あなたの開発ワークフローを改善する有効な手段となるでしょう。
Windowsの使いやすさとLinuxの強力な開発環境をシームレスに融合させることで、快適な開発体験が期待できます。
例えば、Windowsでデザインツールを使いながら、WSL2上でWebサーバーを起動し、VS Codeでコードを編集するといったワークフローが可能です。
この記事では、VS CodeのRemote – WSL拡張機能、そして高速エディタZedをそれぞれ活用し、WindowsとWSL2間でストレスなく開発作業を行うための具体的な連携術と、実践的なワークフローを徹底解説します。
この記事を参考に、開発効率の向上を目指しましょう!
目次
- Zed + WSL2:次世代エディタとの連携
- Zedの魅力とWSL2連携のメリット
- ZedのインストールとWSL2環境での利用
- ZedとWSL2での実践ワークフロー
- VS Code+WSL2:定番エディタとの連携
- Remote – WSL拡張機能の仕組みとメリット
- Remote – WSL拡張機能の導入と設定
- 実践!VS CodeとWSL2での開発ワークフロー
- Windows側からのファイルアクセスと注意点
- まとめ:VS CodeとZedでWSL2開発を加速する
対象読者
- Windows環境で開発を行っており、WSL2の導入を検討している方
- VS CodeまたはZedをWSL2と連携させて、より効率的な開発環境を構築したい方
- WindowsとLinuxのそれぞれの利点を活かした開発ワークフローに興味がある方
- WSL2環境での開発パフォーマンスを向上させたい方
Zed + WSL2:次世代エディタとの連携
VS Codeが強力な選択肢である一方で、近年注目を集めているのが「Zed」エディタです。
Rustで書かれたZedは、その高速性とモダンなUIで、特にパフォーマンスを重視する開発者から評価を得ています。WSL2環境と組み合わせることで、Zedもまた非常に快適な開発体験を提供します。
詳細については、Zed公式サイトを参照してください。
Zedのインストールや機能の詳細については、以下の記事で詳細に解説していますので、是非ご覧ください。
Zedの魅力とWSL2連携のメリット
Zedは、その設計思想から非常に軽量で高速な動作が特徴です。特に大規模なプロジェクトや、リソースが限られた環境での開発において、その真価を発揮します。
メリット:
- 高速性: Rust製であるため、起動速度、ファイル操作、検索など、多くの動作が高速です。
- モダンなUI/UX: 洗練されたデザインと直感的な操作性で、開発に集中できる環境を提供します。
- WSL2との親和性: WSL2のLinux環境に直接接続し、Linuxネイティブのツールチェインを高速に利用できます。VS CodeのRemote – WSLと同様に、WindowsのGUIとLinuxの開発環境をシームレスに統合します。
ZedのインストールとWSL2環境での利用
Zedは現在、Windowsで利用可能です。WindowsにZedをインストールし、WSL2環境のフォルダを利用する手順は以下のようになります。
- WindowsにZedをインストール:
Zedの公式サイトからWindows版のインストーラーをダウンロードし、Windows環境にZedをインストールします。
(インストール手順はZed公式サイトを参照してください。) - WSL2のフォルダをZedで開く:
WindowsにインストールされたZedから、WSL2のフォルダを直接開くことができます。- Zedを開き、
Ctrl+Shift+P(またはF1) でコマンドパレットを開きます。 projects: open in wslと入力し、表示されるアクションを選択します。- 開きたいWSLディストリビューションとフォルダを選択します。
- Zedを開き、
WSL (Windows Subsystem for Linux) サポート
ZedはWSL内のフォルダをネイティブにサポートしています。
- ローカルフォルダをWSLコンテナ内で開く:
projects: open in wslアクションを使用し、開きたいフォルダを選択した後、利用可能なWSLディストリビューションのリストから選択します。 - 既にWSLコンテナ内にあるフォルダを開く:
projects: open wslアクションを使用し、WSLディストリビューションを選択します。その後、「Remote Projects」ウィンドウにディストリビューションが追加され、フォルダを開くことができます。詳細はRemote Developmentを参照してください。
ZedとWSL2での実践ワークフロー
ZedとWSL2を組み合わせることで、以下のような効率的なワークフローが期待できます。
- 高速なプロジェクト起動: 大規模なリポジトリでも素早く開き、開発を開始できます。
- シームレスなターミナル統合: Zedの統合ターミナルはWSL2のシェルに接続され、Linuxコマンドを直接実行できます。
- リソース効率の良い開発: 軽量なZedは、WSL2の限られたリソースを効率的に利用し、快適な動作を維持します。
VS Codeと同様に、プロジェクトファイルはWSL2のLinuxファイルシステム内に配置することで、高いパフォーマンスが期待できます。
Linuxファイルシステムでのプロジェクト管理
パフォーマンスを最大限に引き出すためには、プロジェクトファイルをWSL2のLinuxファイルシステム内に配置することが重要です。例えば、~/projects/my-app のように、Linuxのホームディレクトリ以下にプロジェクトを作成しましょう。
# WSL2ターミナル内で実行
mkdir -p ~/projects/my-app
cd ~/projects/my-app
zed . # Zedで現在のディレクトリを開くターミナル、デバッガー、拡張機能の活用
ZedがWSL2に接続されると、統合ターミナルはWSL2のシェル(Bashなど)になります。また、Zedの拡張機能(Language Server Protocolなど)もWSL2環境で動作するため、Linuxネイティブのツールをシームレスに利用できます。
VS Code+WSL2:定番エディタとの連携
Windows開発者にとって、WSL2は重要なツールの一つとなりつつあります。VS Codeとの連携は、そのWSL2との連携を拡張機能を使って実現できます。
Remote – WSL拡張機能の仕組みとメリット
VS Codeの「Remote – WSL」拡張機能は、Windows上で動作するVS Codeから、WSL2内のLinux環境に直接接続することを可能にします。これにより、Windowsの快適なUIを使いながら、Linuxネイティブのツールチェイン(コンパイラ、ランタイム、パッケージマネージャーなど)をフル活用できます。
メリット:
- ネイティブパフォーマンス: Linuxファイルシステム内での操作は、Windows側からのアクセスよりも高速です。
- 環境の一貫性: 開発環境をWSL2内に集約することで、チームメンバー間での環境差異を最小限に抑えられます。
- WindowsとLinuxの融合: Windowsのデスクトップアプリ(ブラウザ、Officeなど)とLinuxの開発ツールを同時に利用できます。
Remote – WSL拡張機能の導入と設定
それでは、実際にVS CodeとWSL2を連携させるための導入と設定を見ていきましょう。
詳細については、Visual Studio Code Remote Developmentを参照してください。
拡張機能のインストール
- VS Codeを開き、左側のアクティビティバーから「拡張機能」アイコンをクリックします(または
Ctrl+Shift+X)。 - 検索バーに「Remote – WSL」と入力し、Microsoftが提供する拡張機能をインストールします。
WSL2環境への接続方法
拡張機能のインストール後、VS Codeの左下にある緑色の「><」アイコンをクリックします。コマンドパレットが表示されるので、「Remote-WSL: New Window」または「Remote-WSL: Open Folder in WSL」を選択し、接続したいWSL2ディストリビューションを選びます。
実践!VS CodeとWSL2での開発ワークフロー
実際にVS CodeとWSL2を連携させた開発ワークフローを見ていきましょう。
Linuxファイルシステムでのプロジェクト管理
パフォーマンスを最大限に引き出すためには、プロジェクトファイルをWSL2のLinuxファイルシステム内に配置することが重要です。例えば、~/projects/my-app のように、Linuxのホームディレクトリ以下にプロジェクトを作成しましょう。
# WSL2ターミナル内で実行
mkdir -p ~/projects/my-app
cd ~/projects/my-app
code . # VS Codeで現在のディレクトリを開くターミナル、デバッガー、拡張機能の活用
VS CodeがWSL2に接続されると、統合ターミナルはWSL2のシェル(Bashなど)になります。また、インストールされている拡張機能もWSL2環境で動作するため、Linuxネイティブのデバッガーやリンターなどをシームレスに利用できます。
Windows側からのファイルアクセスと注意点
WSL2内のファイルにWindows側からアクセスすることも可能です。
詳細については、Microsoft LearnのWSLドキュメントなどを参照してください。
\wsl$\\ を活用したファイル操作
Windowsのエクスプローラーから \\wsl$\\ と入力すると、WSL2のファイルシステムにアクセスできます。これにより、WindowsのGUIツールを使ってWSL2内のファイルを操作できます。
パフォーマンスを意識したファイル配置
ただし、Windows側から \\wsl$\\ 経由でLinuxファイルシステムにアクセスする場合、パフォーマンスが低下することがあります。そのため、頻繁にアクセスする開発ファイルはLinuxファイルシステム内に置き、Windows側からは必要に応じてアクセスするようにしましょう。
まとめ:VS CodeとZedでWSL2開発を加速する
この記事では、VS CodeとZedという二つの強力なエディタがWSL2と連携することで、Windows開発者のワークフローをいかに効率化できるかを解説しました。
VS CodeのRemote – WSL拡張機能は、Windowsの快適なUIとLinuxネイティブのツールチェインをシームレスに融合させ、安定した開発環境を提供します。一方、Zedはその高速性とモダンなUIで、特にパフォーマンスを重視する開発者に新たな選択肢をもたらします。
どちらのエディタも、WSL2のLinuxファイルシステム内でプロジェクトを管理することで最高のパフォーマンスを発揮し、ターミナル統合や拡張機能の活用により、WindowsとLinuxの利点を最大限に引き出すことができます。
あなたの開発スタイルやプロジェクトの要件に合わせて、最適なエディタを選択し、この記事で紹介した連携術と実践ワークフローを参考に、モダンな開発環境を構築し、快適な開発ライフに役立ててください。
免責事項
本記事の内容は、公開時点での情報に基づいています。WSL2および関連技術は常に進化しており、将来的に情報が古くなる可能性があります。本記事の内容を利用したことによるいかなる損害についても、著者は一切の責任を負いません。ご自身の判断と責任においてご利用ください。
